実践セミナー第2回 「自分との和解」がもたらす恵み [Bさんの場合-2]
Ⅱ.消してしまいたい過去
Bさんは、姉1人、弟1人、両親の5人家族に生まれ育ちました。
1つ違いの弟は生まれた時から病弱だったので、両親はつきっきりで面倒を見ざるを得ませんでした。そのためBさんは物心がつく前から、繰り返し親戚達の家に預けられました。
年に数回、生家に帰るたび、もうどこにも行きたくない、と訴えるのですが両親は教育のためだと言って小さなBちゃんをまた送り出すのでした。
自分には何かが欠けているから家に置いてもらえないんだ、
そう理解したBちゃんは本当の気持ちを押し殺しただ与えられる環境の中で生きていくしかありませんでした。
一番辛かったのは遠い親戚の家で過ごした日々でした。両親はBちゃんの養育費をその夫婦に渡していましたが、ほとんどは彼ら自身の生活費として消えてゆきました。
Bちゃんは、毎朝誰よりも早く起きて食事の準備、後片付け、掃除など家事全般をするように言われました。その家の子供たちにはやらせない鳥をしめる仕事や辛い仕事はいつもBちゃんに回ってきます。
泣いても叫んでも状況は何一つ変えられず、言われるままに従う日々でした。そんな子供時代を生きた自分を思い出すとき、かわいそうだとは思うけれどそれ以上に
その存在が人生の汚点、
あの日々とその子をできるなら消しゴムで消してしまいたい、
とBさんは話してくれました。
(つづく)